2. ポケモンGOを取り巻く企業構造 ポケモンGO
8月8日、ポケモンGOが月間200億円超の売上計上というニュースがありました。
http://www.sankei.com/smp/economy/news/160809/ecn1608090007-s1.html
ぱっと見でもすごい数字ではありますが、その収益を獲得するポケモンGOの関連企業を整理してみます。
ポケモンGOは任天堂ではなくNIANTIC.INCという米国の非上場企業が提供しています。
NIANTICはGoogleでGoogle earthを開発していたチームが社内ベンチャーとして始めました。その後GoogleがAlphabet社を作って持株化された2015年10月にNIANTICはスピンアウトして独立。その際の出資社が、Google, 任天堂, ㈱ポケモンでした。非上場なので出資比率は不明です。
その後2016年2月にはフジテレビなんかが出資に加わってますが、初期の3社に比べるとシェアは微々たるもので数%と言われています。
そしてポケモンGOですが、提供元はNIANTICですが、㈱ポケモンとの共同開発となっています。
共同開発の契約内容は不明ですが収益の配分が決まっているはずです。
㈱ポケモンは任天堂が32%株を保有していますので、㈱ポケモンの利益の32%は任天堂の収益としても加算されます。
またApple storeやGoogleplayは課金収入の30%を手数料として持っていきます。
推計パラメーター(控えめ)
・月間200億円ペースが持続しないとしても年間1000億円は固いとして年間1,000億円売上と仮定
・Google、任天堂、㈱ポケモンの株式シェアを、30%、13%、13%と仮定(20%未満は連結組み入れなし)
・NIANTICと㈱ポケモンの取り分を6:4と仮定
・開発費、サーバ保守/運営費、その他細かい費用足しても10億はいかないと仮定して計算から外す。
・AppStoreとGoogleplayの課金収益比率は1:2と仮定
試算結果(年)
①NIANTIC 420億円
②Google 410億円
③㈱ポケモン 280億円
④Apple 100億円
⑤任天堂 89億円
(計算式)
①(売上高1000-アプリ配信手数料支払300)×共同開発配分0.6=420
②Googleplay手数料収入200+(700×株式シェアによる持分適用0.3)=410
③700×共同開発配分0.40=280
④AppStore手数料収入100
⑤280×③の株式シェアによる持分適用0.32=89
試算結果まとめ
①NIANTICは主役ですからもちろん大成功ですが、③㈱ポケモンも決算ぶっ飛ぶレベルでウハウハですね
②Googleと④Appleはやっぱりおいしいですね。仮想ストアのショバ代だけで100億円以上チャリンチャリン。トランザクションビジネスの勝ちパターンです。
⑤任天堂は7月にポケモンGOが自社の経営に与える影響は軽微である旨を公示しましたが、これはポケモンGOの200億ニュースより前でした。
任天堂の2016.3月期営業利益が328億円ですので89億円は軽微とはいえない数字だと思います。
(補足)
・任天堂はポケモンGOと連動するウェアラブルデバイス、「ポケモンGO Plus」を開発。9月販売予定なのでその売上次第でもっと収益効果がでます。
・Google、任天堂、㈱ポケモンはNIANTICへの追加投資がほぼ決まっています。正確には出資時に2/3だけ払ってNIANTICにマイルストーンを設定して達成時に残りを払う契約。追加出資の比率によっては任天堂もしくは㈱ポケモンのシェアが20%を超えてNIANTICの収益が持分適用でのっかってくる可能性があります。
Index
1. ニーズに基づかない新機軸マーケティング
2. ポケモンGOを取り巻く企業構造
3. ビジネスモデル:Ingressインフラ×ポケモンという触媒×???
4. 起源
5. 近未来仮説