3. ビジネスモデル:Ingressインフラ×ポケモンという触媒×??? ポケモンGO

まず注目したいのは、任天堂と㈱ポケモンのこのビジネスへの関わり方です。
上記の通り現時点で任天堂ポケモンGOの開発、販売に関わっておらず、㈱ポケモンも共同開発とポケモンライセンス提供のみで販売には関わっていません。
ポケモンゲームなのに日本で全然広告宣伝を目にしなかったのは、この2社が販売に関わっておらず、NIANTICは広告宣伝をほとんどしていなかったからです。
販促費をかけずにこれほど売れたのは何故か。
とうやらインフラと商材が鍵となりそうです。
まずインフラですが、ポケモンGOはIngressというゲームがベースとなっています。
IngressはNIANTIC社内ベンチャーだった2012年11月にβテストリリースした、世界中の人がGoogle map上で陣取りゲームができるスマホゲームです。
地図上の公共施設を申請することでスポットとして登録され、プレーヤー(エージェント)はスポットに近づいて、他チームから守ったり攻撃したりします。
Ingressはリリース当初こそあまり流行っていなかったものの、4年間でじわじわとファンを伸ばし、一大人気アプリとなりました。
Ingress上での戦争がヒートアップしすぎてリアル事件が起きたり、様々な企業と提携拡大し、店舗で限定アイテムが入手できたりといったことも。
今では世界中の様々な地点がスポットとして登録されています。

そして、ポケモンGOですが、このIngressのサーバデータが共用されており、Ingressで登録されたスポットがポケモンGOのスポットにもなっています。
よって、ポケモンGOリリース時点で、すでに大量のスポットが世界中に発生していましたし、GPSを利用して実世界の地図と連動し、スポットに近づいて行動を起こす基本的なエンジンはすべてIngressで出来上がっていたところからスタートしています。
NIANTICはリアルワールドゲームと表現していますが、上記のようなリアルワールドゲームのインフラは様々なゲームやアプリで使いまわせるところがポイントです。

今回のポケモンGOはこのインフラに「ポケモン」を載せたことで爆発的なヒットを生みました。
私はインフラに載せたポケモンは触媒のような存在と捉えています。
インフラだけではこのヒットはありえません。
触媒としてのポケモンに以下の性質があったからこそではないでしょうか。
・1996年の初代ポケモンゲームボーイで発売されてから20年、世界中で大ヒットをし続けているコンテンツであること
・初代ポケモンのコアプレイヤー6才〜16才は現在26才〜36才でスマホゲームのターゲット世代と重なること
・男女を問わず好まれる可愛らしさ重視のキャラクターデザイン
・ラディカルな表現を含まない平和的な世界観
・人間は完全に脇役で性的表現も皆無
・ゲームシステムやグラフィックは20年たってもシンプルなままだが、色褪せず飽きがこない普遍的かつ王道2D RPG

NIANTICのCEOジョン・ハンケはGoogle
mapとポケモンの相性の良さをチョコレートとピーナッツバターに例え、提携を推進してきました。
あまり商売っ気のない会社のようですのでここまでの経済効果を狙ってのものではないかもしれませんが、その素晴らしい相性の良さを実績が示しています。上記例えはわかるようでわかりませんが(笑)。

さて、インフラとポケモンだけでも世界的現象を起こしたポケモンGOですが、今後は企業や国
地方自治体がポケモンGOとの提携戦略を繰り広げて行くことになります。それが当該ビジネスモデルの第三の要素です。

 

Index
1. ニーズに基づかない新機軸マーケティング
2. ポケモンGOを取り巻く企業構造
3. ビジネスモデル:Ingressインフラ×ポケモンという触媒×???
4. 起源
5. 近未来仮説