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1.ニーズに基づかない新機軸マーケティング ポケモンGO

ここ10年来、AR(拡張現実), VR(仮想現実), O2Oマーケティングなどの技術、理論は、主に広告業界で進化してきました。
大手広告代理店や様々なコンサルが費用対広告効果をお客様に提案してきましたが、いずれも訴求効果、つまり目にしたユーザーが何を得られるかに主眼が置かれてきました。
ターゲット顧客層を設定し、共通するニーズを分析して、それに訴求する提案を示すのは普遍的なマーケティング手法でした。

一方、ポケモンGOが起こした現象はどうだったでしょうか。
公開から一ヶ月、ポケモンが集まりやすいスポットである大型公園には日中深夜問わず大勢の人が集まっています。
私を含め彼らは何を求めてやってきているのでしょうか。それはポケモンです。それ以外は別に何も求めていないんです。

そしてスポットに集まる人々の顔ぶれですが、見事なまでに大人ばかりです。8割がた20〜30代に見えました。
大の大人が、ポケモン欲しさに一箇所に大勢足を運んで時間を費す。やってない人からすると馬鹿みたいでしょうが、ここで着目したいのは、以下2点です。

 ・およそこの世代層にとって何の役にもたたないものと自覚しながら、実際に足を運んで集まる事象が発生していること
 ・グローバルで同様の現象が起きているということ

つまり20〜30代という経済活動の主力世代を、ニーズとは無関係に誘引することが、国や文化を越えて実現てきてしまったのです。
仮設、理論、実証実験をすっ飛ばして、突如として世界で一様にこのブームは巻き起こりました。
私はこの現象が、これまで顧客の購買心理を分析し、クーポンをはじめとする付加価値とAR,VR技術を連携させて顧客に訴求してきたマーケティング手法に風穴をあけるかもしれないと思いました。
この分野で活躍中もしくは活躍予定のコンサルタントの方々は内心、自分のお客さまが余計な観点持つ前にブームが早く終わってほしいと焦ってるのではないでしょうか。

日本でのリリースが東京都知事選挙の真っ最中だったのも面白かったですね。
候補者は人の集まるターミナル駅の駅前を中心に演説していたわけですが、その裏では都内各所の公園にたくさんの有権者が朝から晩まで集まっていたわけです。しかもスポットと呼ばれる地点に留まるとたくさんポケモンゲットできる仕組みなので、皆スポットに一定時間足を止めているのです。
大多数が通り過ぎてゆく駅前と比べて、演説効果がどうかわってくるかトライする候補者がいたら面白かったろうにと。
今の選挙法では禁じられているとは思いますが、深夜でも公園に大勢集まっていたので、夜間選挙活動が可能な状況ができあがっていたのも興味深いですね。

ポケモンGOではルアーと呼ばれるアイテムによって、特定のスポットで一定時間ポケモン発生率を上げることができるため、人が集まる公園の、ルアーがセットされたスポットにたくさん人が集まります。そして大勢がいるのでルアーの効果が切れても別の誰かがすぐ設置するので、集会効果はより高まっていきます。
つまりある程度恣意的に、人の集まるポイントを作ることができるということです。
ゲームの中の仮想世界ではなく、現実世界で起こせるのがすごいところで、ARの妙ともいえますね。しかし同時に恐ろしい性質であることは想像に易いと思います。

ここまではポケモンGOというよりは、ポケモンGOがもたらす効果に着目してきましたが、ポケモンGO単体でも重要なポイントがあります。
それは販促費です。
月間200億円を超える売上となったこのゲームアプリですが、TV CMとか雑誌媒体で広告宣伝ほとんどしてないんです。
その理由は資本構造にもあるんですがそれは次章で解説するとして、ソシャゲの肝となるはずの販促費ほぼなしでこの売上高、もう異次元ですね。

 Index
1. ニーズに基づかない新機軸マーケティング
2. ポケモンGOを取り巻く企業構造
3. ビジネスモデル:Ingressインフラ×ポケモンという触媒×???
4. 起源
5. 近未来仮説