ラズパイ日記.タッチくん1号
ラズパイ日記 12月5日月曜日
ラズベリーパイを入手してはや一ヶ月。そろそろ書籍に載っている演習以外にも、自分なりにガジェットを作ってみたい。ということで作ってみました記念すべき処女作!
私が遊んでいる某スマホゲームには毎分一回タッチを何十時間も継続することで貴重なアイテムが手に入るのですが、課金すれば手に入るといった仕様にはなっていない為、極めて忍耐と根気が問われる苦行です。それ故にプレイヤー達からはマラソンと呼ばれています。
そこでラズベリーパイのロボット作りの第一弾としてこのマラソンを自動化してやろうと考えました。
そしてできたのがコチラ。
名付けて「タッチくん1号」
(メカとかロボに、1号とかつけたくなるのは私だけですかねw)
用意したもの
・Raspberry Pi 3 model B+
・サーボモーターSG90
・タミヤユニバーサルアーム
・木材
・マット
・ブレッドボード
・ジャンパーワイヤ
・電池ボックス(単3×4本)
・文鎮(重り)
まずは仮組みとして無理やりモーターとタッチペンをくっつけてスマホをタッチさせてみました。ここで課題発生。反応しない。
事象:
手でタッチペンを使うと反応するのに、モーターだと反応しない。
原因:
最近のスマホのタッチパネルは静電式というやつで、常に静電気を帯びている人体の性質を利用している。タッチペンも電気を通しやすい素材でできているため、静電気を帯びていない機械にもたせてもスマホは反応しない。
対応:
アース線をロボットアームに繋いたところ無事反応するようになった。
解説:
つまってから色々ググり、他の人が作ったロボットの動画を参考にしたところ、どの方もアース線を繋いでいることに気がつきました。
最初は人体静電気の代わりに何かで静電気を起こしてアース線でロボットまで流しているのかと思って頭を悩ませましたが、はたと逆であることに気がつきました。
アース線の片方をタッチペンに繋ぎ、もう片方は宙ぶらりんで、どこにも繋がない状態にすることで、静電気の通り道を作り、スマホからの静電気を空気中に逃がしてやるのです。
こうすることであら不思議、スマホがバッチリ反応するではありませんか。
最大の課題が解決したところで工作が始まりました。
工作:
DOITで買ってきた杉の棒を20cmくらいに切り落とします。
サーボモーターの固定位置を決め、
タミヤユニバーサルアームをポキっと折ってネジでモーターを固定します 。
アームの残りを再度折って、タッチペンのペン先を、アームとアームで挟み込んでネジで締めます。これがロボットアームになります。
あとはサーボモーター付属のペラをモーターに装着し、ペラとアー厶の残りをねじドメしてロボット本体完成です。
:配線
ラズパイとブレッドボードを配線し、ブレッドボードに電池ボックスとサーボモーターを配線します。
写真ではADコンバーターや半固定抵抗(ツマミ)も搭載している為線もゴチャゴチャしてますがタッチくん1号にはこれらは使ってません。
モーター系を扱う場合、ラズパイからの電源供給ではなく、別途電池などの電源を用意するといいそうです。ノイズが出てしまうので。よって電池ボックスが出てくるわけです。
プログラミング:
最後にロボットを制御するプログラムを書きます。言語はpython。
書籍の演習で半固定抵抗のツマミでサーボモーターを動かすプログラムを作っていましたので、サーボモーターの入力値(デューティ比)を半固定抵抗ではなくプログラムロジックでセットするように変えるだけです。
特徴としては、WiringPiというライブラリをインポートして使うことで精度の高い制御を可能としているところです。ラズパイはLinuxでマルチタスク制御できる反面、単機能での高精度な動きが苦手です。それを解決するのがWiringPiというわけです。
さてあとはロジックでサーボに角度(デューティ比)を指定していくだけですがここは実際に動かしながら値を微調整していきます。
設置:
動かしてみると、アームに振られて本体が動いてしまいます。そこでマットと文鎮の登場です。さらにタッチする度に、少しづつ回ってしまうのを止めるストッパーとしてネジをマットにテープどめしました。
稼働:
ミスタッチが時々出るものの、30分間自動でゲームをすすめることに成功!
ロボットにゲームをさせることは果たして楽しいのか?なんの意味があるのか?などと哲学してしまいますが、結論としては、「すげー楽しい」です。
今後はこのタッチくんを進化させつつ別のロボットにも挑戦していこうと思います。
ラズパイ日記 演習
2016年11月23日(祝)
半固定抵抗をもちいたAD変換の演習にとりかかるも、苦戦。
事象:
半固定抵抗のつまみを回しても、0のまま表示されてしまった。
原因:
本では12Bit ADコンバーターだったが購入していたセンサーキット付属は、8BitADコンバーターだったことで、配線は調整して動いたものの、ビット操作のロジックが解読できず数値がとれなかった。
対策:
8Bit用ビット操作ロジックへの書換えを検討しつつ、解決できなかったときのことを想定し、12BitADコンバーターを秋月電子で追加発注。
概況:
2歳の娘がお昼寝の間だけラズパイを弄る。
昼寝前は遊園地に連れて行き、昼寝後はゴルフ打ちっぱなしに行ったら、夜疲れ果ててダウンしてしまいました。私の身体では意識高い生活は耐えられないようです。
ラズパイ日記 参考書
今日はラズパイをはじめるにあたって非常に参考になった、というよりもはや著者の金丸先生を恩師と呼びたい勢いの名著を紹介します。
"カラー図解 最新 Raspberry Piで学ぶ電子工作 作って動かしてしくみがわかる (ブルーバックス)"(金丸隆志 著)
ラズパイの初期セットアップから始まり、章をすすめるごとに登場する演習を書いてある通りに進めていくたけで、電子回路や電圧制御の何たるか、各種インターフェースの特徴と使い方、pythonプログラミング、部品調達方法が自然と身につく仕掛けになっています。
軽重の付け方が上手で、学習目的が明確に定義されているので、今理解しなくても良い部分はそのように明言してくれます。
原理的な仕組みから順に教えてくれるので、後続の章でつかわれる技術が前段の技術を理解していることでよりわかりやすく納得感を得られます。
なおかつこれ一冊で最終章では
インターネット経由でスマホからラズパイを載せたカメラ付きキャタピラロボットを操作することまでできるようになります。
電子工作経験のない私が予定よりかなり早く、ラズパイ入手から3週間でスマホタッチロボット「タッチくん1号」を完成させられたのは、紛れもなくこの本のおかげです。大感謝。
4. 夢と現の第三世界
VRが仮想的な世界を構築するのに対し、ARは現実世界を拡張したものとなります。つまり現実と同じ制約を持ちながら架空の存在に触れることができるので、ちょっとだけズレた空想世界をリアリティを持って体験ができます。
地図上の別の地点に行くのには時間と労力がかかるし、時がたてばお腹もすくしのども乾く。たくさん歩けば汗もかくし、世界はその時どきによって様々な景色を見せてくれます。
そんな計算できないナマの世界にまるで突然霊感に目覚めてしまったかのようにポケモンが出現するわけです。
すると不思議なことに現実部分ですらなにかこれまでとは違った世界のように感じられ、色々なところに行ってみたい衝動にかられます。
現実という第一の世界に、ポケモンのいる第二の世界が重なり合って生まれる第三の世界。
その世界では自分自身が実在し動き回るのです。
NIANTICのアジア統括マーケティングマネージャーである須賀健人氏は、「Ingressは自分自身が、アバター」とおっしゃっていましたが、
まさに第三の世界では自分自身が、無意識に世界の内側に存在しアバターと化しているなと気が付きました。
まるで村上春樹の小説の主人公のようにシームレスに不思議な世界に没入してゆくのです。
そして現実という第一世界は変えられませんが、架空の第二世界は無限大なので、組み合わせる第二世界の数だけ第三世界も作られ得るのです。
そこでは自分が街のガーディアンかもしれないし、ひつじ男がいるかもしれません。ギルガメの洞窟がなくなっているかもしれません。
銀行は入れたものに利子がつく魔法のカプセルを供給し、遺跡では伝説の偉人に出会うことができるかもしれません。(これらのうちのいくつかはIngressで実際行われています)
夢と現(うつつ)の距離感が希薄になる第三世界では全てのものに新しい価値を生むことができます。
夢が現実になる一つの形ともいえます。
第一世界の物差しでは測れない、第二世界には作られたもの以上はない。第三世界の価値を産み出していくのは、夢見る力や空想力かもしれません。
そう考えてから自分が予想したポケモンGO提携例を見直すと悲しいまでに第一、第二世界にとらわれた陳腐な想像力です。
あり得ない世界を想像する力が求められる時代が来ているのだとすれば、心からわくわくしますね。
Index
1. ニーズに基づかない新機軸マーケティング
2. ポケモンGOを取り巻く企業構造
3. ビジネスモデル:インフラ×触媒×提携先
4. 夢と現の第三世界
3. ビジネスモデル:Ingressインフラ×ポケモンという触媒×??? ポケモンGO
まず注目したいのは、任天堂と㈱ポケモンのこのビジネスへの関わり方です。
上記の通り現時点で任天堂はポケモンGOの開発、販売に関わっておらず、㈱ポケモンも共同開発とポケモンライセンス提供のみで販売には関わっていません。
ポケモンゲームなのに日本で全然広告宣伝を目にしなかったのは、この2社が販売に関わっておらず、NIANTICは広告宣伝をほとんどしていなかったからです。
販促費をかけずにこれほど売れたのは何故か。
とうやらインフラと商材が鍵となりそうです。
まずインフラですが、ポケモンGOはIngressというゲームがベースとなっています。
IngressはNIANTICが社内ベンチャーだった2012年11月にβテストリリースした、世界中の人がGoogle map上で陣取りゲームができるスマホゲームです。
地図上の公共施設を申請することでスポットとして登録され、プレーヤー(エージェント)はスポットに近づいて、他チームから守ったり攻撃したりします。
Ingressはリリース当初こそあまり流行っていなかったものの、4年間でじわじわとファンを伸ばし、一大人気アプリとなりました。
Ingress上での戦争がヒートアップしすぎてリアル事件が起きたり、様々な企業と提携拡大し、店舗で限定アイテムが入手できたりといったことも。
今では世界中の様々な地点がスポットとして登録されています。
そして、ポケモンGOですが、このIngressのサーバデータが共用されており、Ingressで登録されたスポットがポケモンGOのスポットにもなっています。
よって、ポケモンGOリリース時点で、すでに大量のスポットが世界中に発生していましたし、GPSを利用して実世界の地図と連動し、スポットに近づいて行動を起こす基本的なエンジンはすべてIngressで出来上がっていたところからスタートしています。
NIANTICはリアルワールドゲームと表現していますが、上記のようなリアルワールドゲームのインフラは様々なゲームやアプリで使いまわせるところがポイントです。
今回のポケモンGOはこのインフラに「ポケモン」を載せたことで爆発的なヒットを生みました。
私はインフラに載せたポケモンは触媒のような存在と捉えています。
インフラだけではこのヒットはありえません。
触媒としてのポケモンに以下の性質があったからこそではないでしょうか。
・1996年の初代ポケモンがゲームボーイで発売されてから20年、世界中で大ヒットをし続けているコンテンツであること
・初代ポケモンのコアプレイヤー6才〜16才は現在26才〜36才でスマホゲームのターゲット世代と重なること
・男女を問わず好まれる可愛らしさ重視のキャラクターデザイン
・ラディカルな表現を含まない平和的な世界観
・人間は完全に脇役で性的表現も皆無
・ゲームシステムやグラフィックは20年たってもシンプルなままだが、色褪せず飽きがこない普遍的かつ王道2D RPG
NIANTICのCEOジョン・ハンケはGoogle
mapとポケモンの相性の良さをチョコレートとピーナッツバターに例え、提携を推進してきました。
あまり商売っ気のない会社のようですのでここまでの経済効果を狙ってのものではないかもしれませんが、その素晴らしい相性の良さを実績が示しています。上記例えはわかるようでわかりませんが(笑)。
さて、インフラとポケモンだけでも世界的現象を起こしたポケモンGOですが、今後は企業や国
、地方自治体がポケモンGOとの提携戦略を繰り広げて行くことになります。それが当該ビジネスモデルの第三の要素です。
Index
1. ニーズに基づかない新機軸マーケティング
2. ポケモンGOを取り巻く企業構造
3. ビジネスモデル:Ingressインフラ×ポケモンという触媒×???
4. 起源
5. 近未来仮説
2. ポケモンGOを取り巻く企業構造 ポケモンGO
8月8日、ポケモンGOが月間200億円超の売上計上というニュースがありました。
http://www.sankei.com/smp/economy/news/160809/ecn1608090007-s1.html
ぱっと見でもすごい数字ではありますが、その収益を獲得するポケモンGOの関連企業を整理してみます。
ポケモンGOは任天堂ではなくNIANTIC.INCという米国の非上場企業が提供しています。
NIANTICはGoogleでGoogle earthを開発していたチームが社内ベンチャーとして始めました。その後GoogleがAlphabet社を作って持株化された2015年10月にNIANTICはスピンアウトして独立。その際の出資社が、Google, 任天堂, ㈱ポケモンでした。非上場なので出資比率は不明です。
その後2016年2月にはフジテレビなんかが出資に加わってますが、初期の3社に比べるとシェアは微々たるもので数%と言われています。
そしてポケモンGOですが、提供元はNIANTICですが、㈱ポケモンとの共同開発となっています。
共同開発の契約内容は不明ですが収益の配分が決まっているはずです。
㈱ポケモンは任天堂が32%株を保有していますので、㈱ポケモンの利益の32%は任天堂の収益としても加算されます。
またApple storeやGoogleplayは課金収入の30%を手数料として持っていきます。
推計パラメーター(控えめ)
・月間200億円ペースが持続しないとしても年間1000億円は固いとして年間1,000億円売上と仮定
・Google、任天堂、㈱ポケモンの株式シェアを、30%、13%、13%と仮定(20%未満は連結組み入れなし)
・NIANTICと㈱ポケモンの取り分を6:4と仮定
・開発費、サーバ保守/運営費、その他細かい費用足しても10億はいかないと仮定して計算から外す。
・AppStoreとGoogleplayの課金収益比率は1:2と仮定
試算結果(年)
①NIANTIC 420億円
②Google 410億円
③㈱ポケモン 280億円
④Apple 100億円
⑤任天堂 89億円
(計算式)
①(売上高1000-アプリ配信手数料支払300)×共同開発配分0.6=420
②Googleplay手数料収入200+(700×株式シェアによる持分適用0.3)=410
③700×共同開発配分0.40=280
④AppStore手数料収入100
⑤280×③の株式シェアによる持分適用0.32=89
試算結果まとめ
①NIANTICは主役ですからもちろん大成功ですが、③㈱ポケモンも決算ぶっ飛ぶレベルでウハウハですね
②Googleと④Appleはやっぱりおいしいですね。仮想ストアのショバ代だけで100億円以上チャリンチャリン。トランザクションビジネスの勝ちパターンです。
⑤任天堂は7月にポケモンGOが自社の経営に与える影響は軽微である旨を公示しましたが、これはポケモンGOの200億ニュースより前でした。
任天堂の2016.3月期営業利益が328億円ですので89億円は軽微とはいえない数字だと思います。
(補足)
・任天堂はポケモンGOと連動するウェアラブルデバイス、「ポケモンGO Plus」を開発。9月販売予定なのでその売上次第でもっと収益効果がでます。
・Google、任天堂、㈱ポケモンはNIANTICへの追加投資がほぼ決まっています。正確には出資時に2/3だけ払ってNIANTICにマイルストーンを設定して達成時に残りを払う契約。追加出資の比率によっては任天堂もしくは㈱ポケモンのシェアが20%を超えてNIANTICの収益が持分適用でのっかってくる可能性があります。
Index
1. ニーズに基づかない新機軸マーケティング
2. ポケモンGOを取り巻く企業構造
3. ビジネスモデル:Ingressインフラ×ポケモンという触媒×???
4. 起源
5. 近未来仮説